請求できる損害(重度後遺障害事案)
1 請求できる損害(重度後遺障害事案)
交通事故の、脳損傷や脊髄損傷(頸髄損傷・頚髄損傷など)による、遷延性意識障害、重度の高次脳機能障害、重度の麻痺(四肢麻痺、片麻痺、対麻痺)等の、介護を要する重度の後遺障害事案の損害賠償請求事件において、被害者が請求できる損害については、主に、以下のようなものがあります。
症状固定前の損害 (傷害に関する損害) |
症状固定後の損害 (後遺障害に関する損害) |
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財産的損害・積極損害 | 治療関係費 | 原則として、認められない。 |
通院交通費 | ||
入院雑費 | 将来の介護雑費 (重度後遺障害事案) |
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付添看護費 | 将来の介護費用 (重度後遺障害事案) |
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装具・器具等購入費 (後遺障害事案) |
将来の装具・器具等購入費 | |
家屋・自動車等改造費 (重度後遺障害事案) |
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損害賠償請求関係費用 | ||
(裁判(訴訟)をした場合) 弁護士費用(損害関係) |
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(裁判(訴訟)をした場合) 遅延損害金 |
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財産的損害・消極損害 | 休業損害 | 後遺障害による逸失利益 |
精神的損害(慰謝料) | 傷害慰謝料 | 後遺障害慰謝料 |
なお、積極損害とは、被害者が、交通事故により、支出を余儀なくされた損害のことをいいます。
また、消極損害とは、被害者が、仮に、交通事故による被害を受けなければ、得られたであろう利益を得られなくなった損害のことをいいます。
また、症状固定につきましては、「後遺障害と症状固定」をご覧ください
また、交通事故被害者が請求できる損害は、上記のものに限られるわけではありません。
2 損害額が高額となる主な損害(重度後遺障害事案)
交通事故の重度後遺障害事案の損害賠償請求事件において、損害額が高額となる主な損害は、「後遺障害による逸失利益」と「後遺障害慰謝料」と「将来の介護費用」になります。
また、「休業損害」と「傷害慰謝料」と「家屋・自動車等改造費」も、それなりに高額になります。
3 損害額に大きく関わる問題~過失相殺
また、交通事故の後遺障害事案の損害賠償請求事件において、損害額に大きく関わる問題として、過失相殺の問題があります。