交通事故の脳・脊髄損傷による重度後遺障害事案の解決実績
1 交通事故の脳・脊髄損傷による重度後遺障害事案の解決例
交通事故の脳・脊髄損傷による重度後遺障害事案の解決例の一部を紹介いたします。
被害者が、未成年者の場合、成年者の場合、高齢者の場合に分けて、紹介いたします。
また、プライバシーに配慮して、紹介いたします。
(1)未成年者の裁判例
ア 事案の概要
後遺障害 | 重度高次脳機能障害、頚髄損傷、四肢麻痺など |
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後遺障害の等級 | 介護を要する後遺障害等級1級 |
被害者 | 10歳未満、女性、幼稚園入園前 |
依頼者 | 被害者、ご両親 |
交通事故地 | 関東地方以外 |
任意保険会社の 示談提示額 |
約5900万円 |
イ 自賠責保険会社に対する被害者請求
自賠責保険金 | 4000万円 |
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ウ 民事裁判(自賠責保険金では足りない分を求めて)
解決 | 和解 (裁判所の和解案) |
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解決期間 (民事裁判提起から解決まで) |
約1年1か月 |
(損害認定額) | |
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(傷害に関する損害 (症状固定前の損害)) |
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治療関係費 | 既払い |
入院付添費 | 約300万円 |
症状固定までの自宅介護費 | 約1000万円 |
付添人交通費、通院交通費 | 約10万円 |
入院雑費 | 約70万円 |
装具・器具等購入費 | 約70万円 |
自動車購入費 | 約240万円 |
傷害慰謝料 | 約500万円 |
(後遺障害に関する損害 (症状固定後の損害)) |
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症状固定後の治療関係費 | 既払い |
将来の介護費用 | 約7200万円 |
将来の介護雑費 | 約110万円 |
将来の装具・器具等購入費 | 約230万円 |
将来の自動車購入費 | 約420万円 |
家屋改造費 | 約1300万円 |
後遺障害による逸失利益 | 約5000万円 |
後遺障害慰謝料 (本人及び近親者の総額) |
3200万円 |
過失割合(被害者:加害者) | 45:55 |
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弁護士費用と遅延損害金 | 調整金として合計約1800万円(当事務所の弁護士費用は、被告側の任意保険会社に負担させた弁護士費用と遅延損害金から、全て捻出できました。) |
獲得総額 (自賠責保険金を含めた金額) |
約1億3000万円 |
任意保険会社の 示談提示額から増額させた金額 |
約6600万円 |
(2)成年者の裁判例
ア 事案の概要
後遺障害 | 頚髄損傷、両下肢の完全麻痺、膀胱直腸障害など |
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後遺障害の等級 | 介護を要する後遺障害等級1級 |
被害者 | 20代前半、男性、会社員 |
依頼者 | 被害者、お母様 |
交通事故地 | 関東地方 |
任意保険会社の 示談提示額 |
約2300万円 (自賠責保険金を含めた金額は約6300万円) |
イ 民事裁判
解決 | 和解(裁判所の和解案) |
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解決期間 (民事裁判提起から解決まで) |
約1年 |
(損害認定額) | |
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(傷害に関する損害 (症状固定前の損害)) |
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治療関係費 | 既払い |
入院付添費 | 約70万円 |
交通費、付添人交通費 | 約65万円 |
入院雑費 | 約70万円 |
装具・器具等購入費 | 既払い |
休業損害 | 約420万円 (そのうちの一部は既払い) |
傷害慰謝料 | 約400万円 |
(後遺障害に関する損害 (症状固定後の損害)) |
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症状固定後のリハビリ費用 | 約30万円 |
将来の介護費用 | 約1300万円 (裁判当時、被害者は1人暮らしをしていたため、問題となりました。) |
将来の介護雑費 | 約30万円 |
将来の装具・器具等購入費 | 約400万円 |
家屋改造費 | 約850万円 |
後遺障害による逸失利益 | 約9700万円 |
後遺障害慰謝料 (本人及び近親者の総額) |
2900万円 |
過失割合 (被害者:加害者) |
20:80 |
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弁護士費用と遅延損害金 | 調整金として合計約1600万円(当事務所の弁護士費用は、被告側の任意保険会社に負担させた弁護士費用と遅延損害金から、全て捻出できました。) |
獲得総額 (自賠責保険金を含めた金額) |
約1億4000万円 |
任意保険会社の 示談提示額から増額させた金額 |
約7900万円 |
(3)高齢者の示談交渉例
ア 事案の概要
後遺障害 | 重度意識障害、左片麻痺 |
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後遺障害の等級 | 介護を要する後遺障害等級1級 |
被害者 | 70代前半、女性、主婦 |
依頼者 | 被害者、ご主人、お子様 |
交通事故地 | 関東地方 |
任意保険会社の 示談提示額 |
約6100万円 |
イ 示談交渉
解決 | 示談 |
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解決期間 (示談交渉開始から解決まで) |
約6か月 |
(損害認定額) | |
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(傷害に関する損害 (症状固定前の損害)) |
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治療関係費 | 既払い |
入院付添費 | 約870万円 |
交通費 | 既払い |
入院雑費 | 約150万円 |
休業損害 | 約590万円 |
傷害慰謝料 | 約450万円 |
(後遺障害に関する損害 (症状固定後の損害)) |
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将来の介護費用 | 約2200万円 (将来の介護雑費、装具・器具等購入費、将来の装具・器具等購入費を含む) |
後遺障害による逸失利益 | 約1700万円 |
後遺障害慰謝料 (本人及び近親者の総額) |
3000万円 |
過失割合 (被害者:加害者) |
5:95 |
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獲得総額 (自賠責保険金を含めた金額) |
約8500万円 |
任意保険会社の 示談提示額から増額させた金額 |
約2300万円 |
特に、脳損傷による、遷延性意識障害、重度の高次脳機能障害等の、介護を要する重度の後遺障害事案で、被害者がご高齢の場合、被害者が死亡される可能性があるところ、死亡された場合、将来の介護費用が認められなくなります。
詳しくは、「後遺障害を負った被害者が死亡した場合(後遺障害による逸失利益、将来の介護費用)」をご覧ください。
そして、裁判は、示談交渉での解決と比較して、一般的に、解決に時間がかかりますので、示談交渉で解決すれば、将来の介護費用が認められたが、裁判をしたところ裁判中に死亡したため、認められなくなったという事態が生じる可能性があります。
また、このような事案の交通事故被害者には、判断能力がなく、被害者が成年であるとき、被害者が、裁判をして、損害賠償請求するためには、成年後見開始申立てを行い、成年後見人を選任する必要があります。
詳しくは、「成年後見制度(脳損傷による重度後遺障害事案)」をご覧ください。
しかし、成年後見開始申立てを行うのは手間と時間がかかるところ、任意保険会社は、成年後見人を選任しなくても、示談交渉を進めることを認める対応でした。
このようなことを考慮して、裁判ではなく、示談交渉をしました。