高次脳機能障害
1 高次脳機能障害
(1)高次脳機能
高次脳機能(こうじのうきのう)とは、認知能力(記憶力、集中力、判断力等)や人格(感動、嫉妬等)を司る脳機能のことをいいます。
これに対して、低次脳機能とは、生物である人間としての各種の行動(食べる、歩く等)を司る脳機能のことをいいます。
高次脳機能は、高等生物である人間としての能力や人格を司る脳機能であるということができます。
(2)(脳外傷による)高次脳機能障害
(脳外傷による)高次脳機能障害とは、脳外傷を受けて、認知障害や人格変化が生じる障害のことをいいます。
(脳外傷による)高次脳機能障害は、脳外傷を受けた後、意識障害過程を経て、意識回復後、認知障害や人格変化が生じる障害であると考えられています。
認知障害 |
|
---|---|
人格変化 |
|
2 (脳外傷による)高次脳機能障害の特徴
(1)「見過ごされやすい後遺障害」
この点、例えば、認知障害は、脳外傷とは無関係の痴呆症により発生する場合もあり、医師も、必ずしも、高次脳機能障害に十分な理解があるわけではありませんので、交通事故被害者の認知障害や人格変化の原因が、(脳外傷による)高次脳機能障害が原因であると気付かれないことも多い状況です。
よって、(脳外傷による)高次脳機能障害は、「見過ごされやすい後遺障害」であるということができます。
(2)「理解されにくい後遺障害」
また、高次脳機能障害患者は、他人からは、健常者のように見える場合があり、単に、甘えている、わがまま、変人などと思われることも多く、高次脳機能障害患者の家族の精神的負担は極めて大きなものがあることが多い状況です。
よって、(脳外傷による)高次脳機能障害は、「理解されにくい後遺障害」であるということができます。
3 (脳外傷による)高次脳機能障害の原因
「目に見えにくい後遺障害」
(脳外傷による)高次脳機能障害の原因は、主に、びまん性軸索損傷であると考えられています。これは、大脳深部の神経軸索の損傷です。
ただ、大脳深部の神経軸索の損傷であるため、画像所見では、脳の異常が確認できにくいという問題点があります。
よって、(脳外傷による)高次脳機能障害は、「目に見えにくい後遺障害」であるということができます。