頭部外傷
1 頭部の構造
頭部は、頭蓋骨が、脳を包み込むように保護する構造になっています。
さらに、頭蓋骨と脳の間には、3枚の膜があり、脳を保護する構造になっています。
3枚の膜とは、外側から内側にかけて、硬膜、くも膜、軟膜です。
よって、頭部は、外側から内側にかけて、「頭蓋骨→硬膜→くも膜→軟膜→脳」の構造になっています。
2 頭部外傷の分類
頭部外傷には、以下のようなものがあります。
(1)頭蓋骨骨折
ア | これは、円蓋部骨折と頭蓋底骨折に分けられます。
頭蓋底は、頭蓋骨の底面です。 |
イ | 円蓋部骨折は、さらに、線状骨折、陥没骨折、粉砕骨折に分けられます。
線状骨折は、いわゆる、骨にひびが入ることです。 陥没骨折は、骨が陥没することで、骨が柔らかい小児に多く発生します。 粉砕骨折は、骨が粉砕し、いくつかの骨折片に分かれてしまうことです。 |
(2)急性硬膜外血腫
これは、「頭蓋骨」と「硬膜」の間にできた血腫(けっしゅ)(いわゆる、血のかたまり)です。
(3)急性硬膜下血腫
これは、「硬膜」と「くも膜」の間にできた血腫(いわゆる、血のかたまり)です。
(4)外傷性くも膜下出血
これは、外傷により、「くも膜」と「軟膜」の間に生じた出血です。
なお、部位的に、血腫(いわゆる、血のかたまり)が形成されにくいことから、出血になります。
(5)脳挫傷
これは、頭部を強打する等による、脳自体の損傷です。
強打等した部分が、局所的に損傷するとともに、その外力で、その反対側の部分が、硬い頭蓋骨に内部からぶつかるため、その脳表面が、広範囲に損傷します。
(6)外傷性脳内血腫
これは、脳内にできた血腫(いわゆる、血のかたまり)です。
(7)外傷性脳室内出血
これは、外傷により、脳室内に生じた出血です。
(8)びまん性軸索損傷
これは、大脳深部の神経軸索の損傷です。
びまん性脳損傷ともいいますが、これは、びまん性軸索損傷より広い意味で使われることが多いです。
高次脳機能障害の主な原因であると考えられています。