逸失利益・基礎収入額
1 有職者
(1)給与所得者
ア | 原則 |
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交通事故事件における裁判実務では、原則として、「事故前の収入額」と考えられています。 | |
イ | 例外 |
但し、常に、「事故前の収入額」と考えると、例えば、新入社員は、収入が低額であるのが通常ですので、不利になります。
そこで、交通事故事件における裁判実務では、若年者(概ね30歳未満)の場合、原則として、「全年齢平均賃金額」(「男女別・学歴計・全年齢平均賃金額」)を採用し、但し、生涯を通じて「全年齢平均賃金額」を得られる蓋然性が認められない場合、減額すべきと考えられています。 なお、「男性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」は、統計上(賃金センサス平成23年)、526万7600円、「女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」は、同様に、355万9000円とされています。 |
(2)事業所得者
ア | 原則 |
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交通事故事件における裁判実務では、原則として、「申告所得額」と考えられています。 | |
イ | 例外 |
但し、裁判実務では、若年者(概ね30歳未満)の場合、基本的に、給与所得者の場合と同様の処理をしています。 |
2 家事従事者
(1)専業主婦
ア | 原則 |
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交通事故事件における裁判実務では、原則として、「全年齢平均賃金額」(「女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」)と考えられています。
専業主婦の場合、実収入がないから逸失利益を認めないとするのは、専業主婦にあまりに酷であり、家事労働も、有職者の労働と同様の評価をすべきだからです。 なお、「女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」は、統計上(賃金センサス平成23年)、355万9000円とされています。 |
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イ | 例外 |
但し、常に、「全年齢平均賃金額」と考えると、例えば、体が悪くて働けないことから専業主婦をしている者は、有職者とほぼ同様の逸失利益が認められ、有利になります。
そこで、交通事故事件における裁判実務では、生涯を通じて「全年齢平均賃金額」に相当する家事労働を行い得る蓋然性が認められない場合、減額すべきと考えられています。 高齢者の場合、減額されることが多いです。 |
(2)有職の主婦
交通事故事件における裁判実務では、「実収入額」が「全年齢平均賃金額」を上回っている場合、「実収入額」と考えられています。
逆に、下回っている場合、専業主婦の場合と同様の処理をすべきと考えられています。
3 無職者
(1)学生・生徒・幼児
ア | 原則 |
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交通事故事件における裁判実務では、原則として、「全年齢平均賃金額」(「男女別・学歴計・全年齢平均賃金額」)と考えられています。
なお、「男性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」は、統計上(賃金センサス平成23年)、526万7600円、「女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」は、同様に、355万9000円とされています。 また、交通事故事件のおける裁判実務では、女子年少者の場合、「女性労働者の全年齢平均賃金額」ではなく、「男女計全労働者の全年齢平均賃金額」と考えられています。 これは、「女性労働者の全年齢平均賃金額」と考えると、男子年少者との間で格差が生じるからです。 |
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イ | 例外 |
但し、交通事故事件における裁判実務では、生涯を通じて「全年齢平均賃金額」を得られる蓋然性が認められない場合、減額すべきと考えられています。 |
(2)高齢者
交通事故事件における裁判実務では、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合、「年齢別平均賃金額」(「男女別・学歴計・年齢別平均賃金額」)と考えられています。
4 失業者
ア | 原則 |
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交通事故事件における裁判実務では、労働能力及び労働意欲があり、再就職の蓋然性がある場合、原則として、「再就職によって得られるであろう収入額」と考えられています。 | |
イ | 例外 |
但し、裁判実務では、若年者(概ね30歳未満)の場合、基本的に、給与所得者の場合と同様の処理をしています。 |