交通事故の後遺障害事案の解決方法(示談交渉、裁判)
1 交通事故事件の主な解決方法
交通事故の損害賠償請求事件では、主に、「示談交渉」、「裁判(訴訟)」という解決方法があります。
また、その他の解決方法としては、交通事故紛争処理センターを利用する方法などがあります。
詳しくは、「交通事故事件の主な解決方法(示談交渉、裁判)」をご覧ください。
2 交通事故の後遺障害事案の解決方法~「示談交渉」と「裁判(訴訟)」の比較
(1)解決時間の比較
示談交渉は、裁判(訴訟)での解決と比較して、一般的に、早期の解決が可能です。
そして、交通事故の後遺障害事案の場合、示談交渉の解決時間の目安は、約3か月です。
他方、裁判(訴訟)の解決時間の目安は、約1年です。
(2)金額面の比較
裁判(訴訟)は、示談交渉での解決と比較して、一般的に、高額な金額での解決になります。
3 交通事故の後遺障害事案の解決方法
(1)基本的に、示談交渉
一般的に、損害額が高額になる事案ほど、裁判(訴訟)での解決が適し、損害額が低額になる事案ほど、示談交渉での解決が適しているといえます。
これは、一般的に、損害額が高額になる事案ほど、解決に時間がかかるデメリットより、高額な金額での解決になるメリットが上回り、損害額が低額になる事案ほど、低額な金額での解決になるデメリットより、早期の解決が可能であるメリットが上回るからです。
そして、後遺障害等級は1級から14級までありますが、一般的に、14級に近いほど、損害額が低額になります。そして、14級に近いほど、件数が、圧倒的に多くなります。
よって、一般的には(件数が多いものを基準とする観点からは)、後遺障害事案では、基本的に、示談交渉での解決が適しているといえます。
(2)裁判(訴訟)
但し、後遺障害事案であっても、事案によっては、裁判(訴訟)での解決が適している場合もあります。
また、被害者が、様々な事情により、示談交渉より裁判(訴訟)での解決をご希望される場合もあります。
4 交通事故の重度後遺障害事案の解決方法
(1)基本的に、裁判(訴訟)
ア 損害額が高額になる事案
脳損傷や脊髄損傷(頸髄損傷・頚髄損傷など)による、遷延性意識障害、重度の高次脳機能障害、重度の麻痺(四肢麻痺、片麻痺、対麻痺)等の、介護を要する重度の後遺障害事案の場合、損害額が高額になります。
よって、重度後遺障害事案では、基本的に、裁判(訴訟)での解決が適しているといえます。
イ 自賠責保険会社に対する被害者請求
また、被害者は、裁判(訴訟)をする前に、自賠責保険会社に対して、被害者請求をすれば、自賠責保険金を迅速に受け取ることができます。
介護を要する後遺障害等級1級の事案で、上限4000万円です。
被害者にとっては、裁判(訴訟)をするための十分な軍資金を確保できることにもなります。
被害者請求について、詳しくは、「自賠責保険会社に対する被害者請求」をご覧ください。
ウ 裁判(訴訟)をした場合
また、特に、裁判(訴訟)をした場合、弁護士費用について、全損害額の1割程度を、加害者側(任意保険会社)に負担させることが可能です。
詳しくは、「弁護士費用(損害関係)」をご覧ください。
また、裁判(訴訟)をした場合、遅延損害金(年5%)を、加害者側(任意保険会社)に負担させることが可能です。
詳しくは、「遅延損害金」をご覧ください。
これにより、当事務所の弁護士費用を全て、結果的に、加害者側(任意保険会社)に負担させることが可能です。
(2)示談交渉
但し、重度後遺障害事案であっても、事案によっては、示談交渉での解決が適している場合もあります。
特に、脳損傷による、遷延性意識障害、重度の高次脳機能障害等の、介護を要する重度の後遺障害事案で、被害者がご高齢の場合、被害者が死亡される可能性があるところ、死亡された場合、将来の介護費用が認められなくなります。
詳しくは、「後遺障害を負った被害者が死亡した場合(後遺障害による逸失利益、将来の介護費用)」をご覧ください。
そして、裁判(訴訟)は、示談交渉での解決と比較して、一般的に、解決に時間がかかりますので、示談交渉で解決すれば、将来の介護費用が認められたが、裁判(訴訟)をしたところ裁判(訴訟)中に死亡したため、認められなくなったという事態が生じる可能性があります。
また、被害者が、様々な事情により、裁判(訴訟)より示談交渉での解決をご希望される場合も多いです。
5 当法律(弁護士)事務所の対応
当法律(弁護士)事務所では、交通事故の後遺障害事案の損害賠償請求事件のご依頼を受けることになった場合、「示談交渉」と「裁判(訴訟)」のメリット・デメリットをご説明するとともに、被害者のご意向をお聞きして、最終的には、被害者のご意向に従って解決方法を選択しております。